読書記録

【読書記録】忘れられた日本人

忘れられた日本人 宮本常一(著) 岩波文庫 日本民俗学を代表する名著。 著者・宮本常一は生涯を通じて全国の農村・漁村・山村を歩いて回り、 文字を持たない人の口承・伝承を記録した「旅する民俗学者」と呼ばれています。 彼の出身地は、山口県の周防大島…

【読書記録】「女縁」を生きた女たち

「女縁」を生きた女たち 上野千鶴子(著) 岩波現代文庫 近頃、独居老人の孤独死、ワーキングプアなどの問題を射程にとらえた、 「無縁社会」という言葉が唱えられることが多くなっています。 新聞などのマスメディアも、「無縁社会」をテーマにした、 様々…

【読書記録】日本型ポピュリズム

ここのところ大阪府の橋下府政、名古屋市の河村市政に関する報道などで、 「ポピュリズム」という用語を耳にすることがあります。 とはいえよくわからないので、ゼミの先輩が参照されていた 『日本型ポピュリズム』(中公新書)という本を読んでみました。 日…

【読書記録】家族を容れるハコ 家族を超えるハコ

家族を容れるハコ 家族を超えるハコ 上野千鶴子(著) 平凡社 上野千鶴子さんといえば日本を代表するフェミニストですが、 近年はライフワークの女性・家族研究を軸に、 ナショナリズム研究、ネットワーク研究と仕事の幅を拡げていらっしゃいます。 また領域…

【読書記録】希望難民ご一行様―ピースボートと「承認の共同体」幻想―

文体が軽妙で読みやすい。見習いたい… テーマは共同体論と若者論。社会学の得意分野です。 本稿ではピースボートの活動の様子には触れませんでしたが、 ルポタージュとしても楽しめます。 希望難民ご一行様―ピースボートと「承認の共同体」幻想― 古市憲寿・…

【読書記録】貧困の文化―メキシコの五つの家族―

人類学の古典です。 文庫で出版・邦訳されていますが、600ページ以上というボリューム、 主観や解釈を極力排しあらゆる情報を記述するというスタイルから あまり広くお勧めできる本ではありません。 とはいえ、メキシコ及びラテン文化、貧困問題に興味のある…

【読書記録】滝山コミューン一九七四

一人でも多くの方に読んで頂きたい本です。 滝山コミューン一九七四 原武史 講談社 コミューン(仏:commune) 「共通」「共同」「共有」「多数」「平凡」「庶民」の意。 新しい価値観、生き方を模索し共同生活を営む者による小規模な共同社会。 戦後の人口膨…

【読書記録】食の共同体―動員から連帯へ―

食の共同体―動員から連帯へ― 池上甲一/岩崎正弥/原山浩介/藤原辰史 ナカニシヤ出版 ひょんなことから「食育」に関する博士論文を講読する機会をいただき、 参考文献として手にした本です。 私はどちらかというと、「飯ぐらいは一人でゆっくりと食べたい」 と…

【読書記録】OLたちの―サラリーマンとOLのパワーゲーム―

OLたちのレジスタンス>―サラリーマンとOLのパワーゲーム― 小笠原祐子著 中公新書 レジスタンス(resistance)は一般的に「抵抗」という日本語に訳されますが、 社会学や人類学、政治学の分野において、このことばは「弱者の武器」という ニュアンスを付与され…

【読書記録】暴走族のエスノグラフィー−モードの反乱と文化の呪縛−

暴走族のエスノグラフィー―モードの叛乱と文化の呪縛 佐藤郁哉(著) 新曜社 エスノグラフィー第2弾、今回は「暴走族」です。 「暴走族」という言葉、私など大都市郊外の新興住宅地に身を置くものとしては、 遠い昔の話のように聞こえるのですが、 (私が小学…

【読書記録】アップタウン・キッズ−ニューヨーク・ハーレムの公営団地とストリート文化−

アップタウン・キッズ―ニューヨーク・ハーレムの公営団地とストリート文化 テリー・ウィリアムズ(著) ウィリアム・コーンブルム(著) 中村 寛 (翻訳) 大月書店 ニューヨーク・ハーレム。 またはアップタウン。 そしてプロジェクト(公営団地)。 これらの言葉…

【読書記録】集合住宅と日本人

集合住宅と日本人(平凡社:竹井隆人著) 概要 著者はマンション建て替えなどの「まちづくりの実務」に携わってきた政治学の研究者です。 「政治学者がまちづくりの何を?」「マンション建て替えは建築や工学の専門家が関わるのでは?」 と思われる方もいらっ…

【読書記録】居住の貧困

居住の貧困 (岩波新書:本間義人著) 賃貸住宅を探すとき、 「家賃がもう少し安ければ○○が出来るのに」「なんで初期費用だけでこんなにお金がかかるんだろう」 と思ったことのある方はいらっしゃるでしょうか。 また家族に恵まれ、しかるべき広さの住宅を探す…

人権と国家 −世界の本質をめぐる考察

人権と国家 ―世界の本質をめぐる考察 (集英社新書) 概要 ラカン派精神分析理論の旗手と言われるスラヴォイ・ジジェクのインタビュー集+2本の論文です。 ジジェク氏の本は最近、新書としてもう1冊出ていて、気軽に読めますし、こちらもおすすめです。 (『ポ…

子どもの貧困−日本の不公平を考える

子どもの貧困−日本の不公平を考える 概要 日本社会において、これまで子どもの貧困(格差ではありません)は 「一億総中流幻想」「貧しくても幸せな家族幻想」に護られ十分に語られてきませんでした。 そして行政は国際的にみて、子どもの福祉については企業や…

ザ・フェミニズム

ザ・フェミニズム -概要 現代日本のフェミニズム史に名を残す2名の論者によって、2001年にリリースされた対談集です。 70年代以降の日本フェミニズムにおける論点の変遷が、 お2人のアプローチの違い、個性からなるかけあいから浮かび上がってきます。漫才の…